保健と医療のレポート

 

1、始めに

人は誰しも鬱病になりうる可能性を持っている。ビデオにもあったように、近年、鬱病などの精神的病気にかかる人が増えている。それについて論文を読み、レポートを提出しようと思う。

 

2、選んだ語句

「メンタルヘルス」「リラクセーション」

 

3、論文の概略

 職場におけるメンタルヘルス不全の発生と対策

@メンタル不全者の発生と初期対応

 

職場のメンタルヘルス活動で問題にされるのは、うつ病などのメンタルヘルス不全としての病気の発症であるが、実際には、そのような病気がいきなり発症するわけではない。メンタルヘルス不全に伴う不調が徐々に大きくなり、その結果として病気が発症する。したがって、メンタル不全のプロセスを理解して、病気の発症に至る前に何らかの対応を行うことで、病気の発症を予防することも必要である。

 メンタルヘルス不全のプロセスはいくつかの段階を経て進む。

 

  (1)-A 働いている状況(仕事の質、量、対人関係など)で「不調和感」を感じる段階

 

     いろいろな不調和感で悩んでいる段階。この段階では、不適応は表面化していないため、本人は悩みを自覚していても、周囲は本人の「本音」を聞く機会がないと捉えられない。

 

   (1)-B 働いている状況(仕事の質、量、対人関係など)で「不調和感」を感じていない段階

 

     これは「仕事に張り切っている」ために、ある段階までは問題はないが、本人の負担がさたに増えた段階で、過剰適応により様々な心身の不調が表れる。

 

(2)       不適応準備状態(疲労感、焦燥感、抑うつ感など)の段階

 

これは心身状態が普段とは少し異なってきているように感じられる段階である。が、一方では「まだ頑張れる」という気持ちを持ちながら働いている。周囲から見ると、普段よりも少しイライラしているように見えるなど、多少、いつもの本人とは異なる感じがする。しかし、仕事のほうはいつもとあまり変わらないペースで遂行していることが多いため、心身の不調は本人から話を聞いてみないとわからない。メンタルヘルス不全のプロセスでは、ここまでは仕事を休むことなく何とか職場に適応している段階である。

 

(3)       不適応状態(3つのAなど)の段階

 

ここでいう、3つのAとは、AccidentAbsentAlcoholである。これは、事故や仕事上のミス、頻繁な仕事の休み、飲酒やギャンブルなどへのめり込み、を表している。そして、生活全般に関して影響がおよび、職場での状況も適応性を欠いて、この段階から不適応の状態が始まる。本人の不調は職場でも家庭でも周囲から把握されている。

 

(4)       メンタルヘルス不全としての病気の段階(うつ病、うつ状態、不安障害、心因              

      反応などの発症)

 

     これまでに有効な対策がとられていないために、メンタルヘルス不全としての病気が発症する。不規則に休んだり、職場へ出ても仕事に向かうことができなかったり、普段の本人では見られないような言動が見られたりする。このように、普段の本人の状態との解離が著しいために、周囲にも用容易に認識できる段階である。

 

 

U メンタルヘルス不全への対応

 メンタルヘルス不全には、いくつかのプロセスが見られるが、それ以降のプロセスへの進行を防ぐためには、それぞれに対して、適切な対処法をとることが必要。具体的には次のようなことである。

 

 (1)-A 働いている状況(仕事の質、量、対人関係など)で「不調和感」を感じている段階

 

    相手(不全者)の話によく耳を傾け、その内容を批判せずに受け止めること。つまり、傾聴することである。これは、メンタルヘルス不全のこれ以降におけるプロセスでも重要な対処法の基本である。また、不全者も、自分の不調和感に気づいた場合は、上司や同僚に最近感じていることを話してみることが必要である。

 一方、本人が「自分でもう少し頑張ってみよう」として、この段階が続いていくうちに、次の段階へと移行する。

 

 (1)-B 働いている状況(仕事の質、量、対人関係など)で「不調和感」を感じていない段階

 

    この段階では、周囲が「働き過ぎではないか」と気づくことが多い。この段階では本人から最近の状態を聞いて、仕事の量的な負担を減らすことが必要である。また、本人は自分が少し普段とは違うということを捉えて、それを相談してみることが必要である。

 一方、本人が過剰適応の状態をさらに続けていくと次第に次の段階へと移行しいく。

 

(2)       不適応準備状態(疲労感、焦燥感、抑うつ感など)の段階

 

この段階では、心身の疲労が増加しているために、様々な不調感を感じ、自分自身でもいつもの自分と異なる感じに気づいている。したがって、睡眠や休養を十分に確保したり、仕事などのペースを落としてみたり、といいうような対処が必要である。また、本人の話を聞く機会を作り、必要ならば休みをとらせるような対処が必要である。さらに、この段階でそれだけでは対処できない場合には、医療機関への受診を勧めることが必要になる。

 一方、本人が「もっと頑張っていこう」というように、この状態を続けていると次第に次の段階へと移行していく。

 

(3)       不適応状態(3つのAなど)の段階

 

この段階では、本人の不調は周囲も捉えられており、仕事を休んだり、ミスが多くなったり、など不適応の段階にきている。

 こうなると、本人を呼んで今の状態を聞くことが必要になる。また、この状態では、産業医などに相談したうえで、医療機関への受診を勧めることが必要になる。

 一方、本人がこのような状態に陥ってもなお「もっと頑張らなければ」と無理を続けていくと、次の、明らかな病気の発症が見られる段階へと移行していく。

 

(4)       メンタルヘルス不全としての病気の段階(うつ病、うつ状態、不安障害、心因反応な   

   どの発症)

 

   この段階では、本人および周囲は速やかに医療機関へかかれるような方策を立てることが必要である。産業医面談を行い、産業医から医療機関へ紹介してもらう、という方法がある。

 

 以上をまとめると、職場のメンタルヘルス不全者の発生には、いくつもの段階が見られ、それぞれに異なった対処法がある。しかし、いずれの段階でも本人の自覚だけでなく周囲の対応も重要であり、ラインによるケアを心がけることが大切である。そのために、メンタルヘルス不全のプロセスや、それぞれの段階における対処法の理解を促す啓蒙活動を行い、ラインには「傾聴法のトレーニング」などを行って、部下に対する対処法を身につける機会を作ることが重要である。また、とかく本人は自分の不調を隠して自分だけで対処しがちであるが、むしろ自分の不調を周囲に話すことが、メンタルヘルス不全の悪化を防ぐ方策を立てることにつながる。

 

 

A職場におけるメンタルヘルス不全の発生と対策

 メンタルヘルス不全者の対応の留意点

 

近年、産業現場における勤労者の健康障害の問題が大きく変化しており、ストレス関連疾患やメンタルヘルスの問題は急増している。

 事業場における労働者の心の健康づくりのための指針において、メンタルヘルスケアの具体的な進め方について「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つが継続的かつ計画的に行われることが重要とされている。

 一般にストレス関連疾患の患者においては、症状を外観から判断しにくく、客観的データで評価することも難しいため、周囲から誤解を受けやすい。そのため職場では、怠惰であるとか能力が低いなどの誤ったリベラリングがなされる危険性もある。つまり、メンタルヘルス不全に対する上司の理解を促進することが不可欠と思われ、ラインへの教育の重要性を再認識しなければならない。

 メンタルヘルス対策においては、単にシステム構築のみでは不十分であり、システムを運用するに当たって、管理監督者の意識を高める教育を充実させ、受け入れ側の態度を整備することも重要なことと考えられる。

 昨今の変化の激しい社会情勢の中で、職場のメンタルヘルスは日々その重要性が高まっている。さきほど示した4つのケアの中でも特に、「ラインによるケア」の質を高めることが有用と思われる。これには、たとえば「職場環境などの改善」「個別の相談対応」があげられている。また、職場においてメンタルヘルス不全者への上司の対応上の留意点として

   @偏見を持つべからず

   A責める(怒鳴る、説教する)べからず

   B初期のサインを見落とすべからず

   C励ますべからず

   D自分の価値観を押し付けるべからず

   E重大な決定(契約、転職、退職など)をさせるべからず

   F休養を妨げるべからず

   G医療情報を勝手に得ようとするべからず

   H復職後、一度の加重を与えるばからず

   I再発しないと思うべからず

 

 といった『職制ご法度』を守ることが重要である。

 

 

 

4、考察など

 

ビデオでもあったように、確かに近年心身の不調を訴え、病気にかかる人が増えたように感じられる。近年、情報化などが進み、一人当りが受け持つ仕事の量が増えた。それに伴い、メンタルヘルス不全も増加していったと考えられる。

 メンタルヘルス不全とは、他人事ではなく誰しもに考えられうる病気である。メンタルヘルス不全になったからと言って、その人が他の人に比べて精神が弱い、とは言い難い。メンタルヘルス不全は、かかった人のみの病気ではなく、その人を取り巻く環境であったり、当事者と周囲の環境によって引き起こされる病気であると考えられる。

 論文の概略中にもあったが、励ますべからず、はなるほどと思った。本人にとっては自分はがんばっているのであり、がんばらないといけないと言う気持ちも心の中に存在するのだ。がんばれ、と励ますことにより、その人にプレッシャーをかかえてしまい、更なる悪循環へと繋がるのだと考えた。

 メンタルヘルス不全を治すには、時間がかかることであろうし、何よりもメンタルヘルス不全者の話を傾聴しつづけるという忍耐力が必要だと考える。

 

5、まとめ

 

 このレポートを書き終わった今、メンタルヘルス不全者はその人なりの考えがあり、決して心が弱いからなってしまったといったことは無いのである。メンタルヘルス不全者の治療も大切であるが、なによりもメンタルヘルス不全にならないよう、事前の段階で出来るだけ予防することが必要不可欠であるということが分かった。

 人それぞれ、みんながんばって生きているんだなあ。